第5回研究会 資料)
「吹田市市民公益活動の促進に関する条例(案)」についての基本的な考え方
条例のねらい
まちづくりの主体である市民が自らの意思で参加する、市民の自由で柔軟な発想による市民公益活動を、市や市民、事業者、市民公益活動団体が、それぞれの立場を尊重しながらその活動を進めて行くとともに、パートナーシップに基づく協力関係(協働)を築いていくことが重要となっている。
また、市民ニーズが多様化、個別化していく中で、より豊かな市民生活を築くためには、行政や企業だけでなく、柔軟性・独創性をもったボランティアやNPO等の市民公益活動が社会的役割を果たすことが求められている。このことは、平成7年(1995年)の阪神・淡路大震災や平成9年(1997年)の日本海沖原油流失事故におけるボランティア等の活躍が多くの人々に共感を与えたこととして記憶に新しいところであるが、これを契機として市民による自主的な活動が個人や行政の力だけでは解決できない課題にも取り組めるということが再認識されることとなった。
ところで、国と地方の関係が従来の上下関係から、対等な関係へと移行される地方分権社会においては、地方自治体が地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役目を担うという自己決定権の確立と共に、地域住民が自らの意志に基づき課題を自主的に処理する市民の自治力の強化が期待されている。
また、高齢・少子化の流れは行財政をいま以上に逼迫させ、行政による公的サービスの量的供給が困難になるとともに、その画一化や質の低下は避けられないことが想定されるところであり、簡素で効率的・効果的な行政システムの確立が求められているところである。このような中、これまで主に市が担ってきた公共の分野において、自主的で自律的な意思による市民公益活動を行っている市民や団体が、社会サービスの供給主体として、また、地方自治の担い手として、様々な活動を行えるよう環境を整備することにより、自助、互助、公助の社会、とりわけ市民が互いに支えあう互助の社会の実現をめざすべきであり、市の施策全般にわたって市民公益活動の活性化の促進と、施策を具体化していく方法を定めることが必要となってきている。
これらのことから、市や市民、事業者、市民公益活動団体が市民公益活動の社会的意義を認め合うとともに、それぞれの役割のもとに市民公益活動を促進することをめざし、この条例を制定することとしたところである。
なお、特定非営利活動促進法が、非営利活動を目的とする団体の法人となる条件や手続きを定めたものであるのに対し、この条例は、市民公益活動の促進に向けた基本的な事項について規定し、具体的な施策は、条文中の基本方針に委ねることとしている。
(目的)
市民公益活動の促進についての基本理念を定めることにより、市、市民、事業者及び市民公益活動団体の役割を明らかにして協働関係の基本的視点を表わすとともに、市民公益活動の促進を図り、市民の主体的な参画の中、市、事業者および市民公益団体が協働を基調として自発的で自律的な活動を発展させるため、市民公益活動促進の基本的事項を定めて、総合的・計画的な施策の推進を通じて、地域社会の発展に寄与することを目的として条例を制定するものである。
(定義)
条文中の用語のうち、この条例を施行する上で、重要な、「市民公益活動」及び「市民公益活動団体」について規定する。
「市民公益活動」
市民が自発的に行う営利を目的としない社会貢献活動(社会のためになるよう力をつくす公益的・社会的活動)である。言いかえれば、市民の自主的な参加によって行われる活動のうち、地域における活動「市民活動」で、不特定かつ多数の利益「市民公益」を目的とする活動と定義できる。なお、次の活動は、本条例の適用除外とする。
@宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とする活動
A政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対することを主たる目的とする活動
B特定の公職(公職選挙法(昭和25年法律第100号)第3条に規定する公職をいう。)の候補者(当該候補者になろうとする者を含む。)若しくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又はこれらに反対することを目的とする活動
なお、宗教や政治団体であっても広く市民を対象に、社会貢献活動を行うときは、この条例の要件を満たせば、市民公益活動である。
「市民公益活動団体」
主として市域内を活動地域とする市民公益活動(市民等が自発的に行う営利を目的としない社会貢献活動)を行う団体やボランティアグループである。市民公益活動の担い手が共益団体(同窓会やクラブなど会員相互の親睦を目的とする組織)や自治会などの地縁団体の場合も広く市民公益活動団体の対象としてとらえる視点が必要である。これらの団体は、市民公益活動の定義における、構成員及び自主性、自発性、公益性の観点からは異なるところであるが、その活動内容に着目し、市民公益活動を行っている場合は、地縁団体等も市民公益活動団体として取り扱うものとする。
(基本理念)
そもそも市民公益活動の基盤強化は、元来、行政などの支援に頼らず市民公益活動側で独自に努力すべきものである。しかし、市民公益活動の現状はすべての側面において脆弱であり、この市民公益活動の自立化を図るためには、安定した活動基盤を確立することが必要である。そのため、現時点では市民公益活動の自立化を促進するための行政支援が必要である。というのも、市民公益活動は、行政に並ぶ、あるいは行政が取り組めない公的活動の担い手になり得るからである。この場合、市民公益活動の自主性・自律性を損なわない支援となることを基本としなければならないのは当然のことである。
市と市民等が協働するにあたっては、(非営利・公益活動の分野における)共通の課題領域に関して、市と市民等が、目的意識を共有し、相互に自立しつつ、特性を認め合い、それぞれの果たす役割のもと、対等の関係で、よりよい市民社会の向上をめざして相互に補完し、協力し合い、もって活動の成果を相乗効果的に創出させることである。なお、自治体と市民公益活動を行う者との間に協働が成立するのは、
@共通の課題領域であること。
A自立・自己を確立すること。
B目的意識を共有すること。
C互いの特性を認識し、尊重すること。
D対等の関係にあること。
E相互に協力・協調して活動すること、
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などを満たす必要があるといわれている。
これらを踏まえ、市民公益活動の促進についての根幹的項目として、「役割の認識」、「対等の立場」、「相互の補完と協力」、「自主性と自律性の尊重」を基本理念の内容に定めることとする。
(役割)
「市」市の役割としては
@市民公益活動の促進のための制度や基本方針の策定。
A市民公益活動の促進のための条件や基盤の整備。
B市民公益活動の促進の機会づくりのための施策の実施
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が考えられるが、これらをまとめ、基本理念に基づき、市民参画を進める上での基本となる市民公益活動に関する情報の市民等への提供とともに、市民公益活動に関する施策の推進に努めることとする。
「市民」
市民の役割としては、基本理念に基づき、市民公益活動の趣旨や意義への理解や関心を深め、自らの意思に基づく自主的な活動への参加と寄付などによる活動への協力に努めるものとする。
「事業者」
事業者の役割としては、地域社会の一員として、民間団体としての柔軟性と独創性を活かし、基本理念に基づき、市民公益活動に対する理解を深めるとともに、活動場所の提供や備品の貸し出しなどにより、その活動の促進に協力するように努めることとする。
「市民公益活動団体」
市民公益活動団体の役割としては、基本理念に基づいて、自らの市民公益活動の推進に努めることであるが、その活動の社会的評価が問われることから、活動に関する情報を積極的に公開するなどして、活動内容の理解が深まるように努めることとする。
なお、市民公益活動団体の中には、団体の目的や行動に賛同して、資金や人的支援を受け、事業を推進しているものがあることから、その団体は、支援された資金等を有効に活用して、団体の活動が適切に履行されているかの説明責任を持つため、事業報告等の公開が求められる。
(基本方針)
市長は、市民公益活動の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、市民等と協働して基本的な指針(活動促進に関する基本姿勢や方向性)と、基本施策(活動促進のための環境整備に関する施策)を内容とする基本方針を策定する。なお、この基本方針は、市民等の意見の反映にも努めながら、新たに設置する検討組織(市民公益活動審議会)の意見を聞き策定するものとし、策定後は、市民に公表することを義務づけている。
(基本施策)
市民公益活動の促進に関する基本的な指針に基づく環境の整備を図るための基本施策は、その具体例として下記の施策が考えられるとしている。なお、これらを基本施策として位置付ける際には、その緊急性や必要性を十分検討し、年次的な計画となるよう配慮する必要がある。
*市民公益活動の場所の整備に関すること
*市、市民、事業者、市民公益活動団体及び市民公益活動を行う者の相互間の連携及び交流に関すること
*市民公益活動に関する情報の収集及び提供に関すること
*市民公益活動を行う者の能力の向上に関すること
*市民公益活動団体に対する助成に関すること
*前各号に掲げるもののほか、市民公益活動の促進に関する環境の整備に必要な事項
(公共サービスにおける参入機会の提供)
市民公益活動団体は、市民の自主的な参加によって行われる非営利活動のうち、地域における活動で、かつ不特定多数の利益に資する活動団体である。
市民公益活動団体の公共サービスへの参入機会の提供については、団体の専門性・地域性等の特性を活かせる事業への参入でなければならない。また、市民公益活動団体は、今日までの歴史から、一般的に顕在化していない課題に、先駆的・実践的に取り組んできたことから、今後、政策として位置付けられる事業の委託についても、これらの特性を活かし、すすめていく必要がある。
なお、公共サービスへの参入には、事業委託だけでなく、市事業に団体が共催として関わるときや、団体からの講師の派遣や手話通訳なども該当するものと考えられる。
(市民公益活動団体の活動内容等の公表)
市民公益活動は市民等とともに進めていくことから、市民公益活動団体にはどのような団体があり、どのような活動を行っているかなどを把握する必要がある。また、届出のあった団体の活動内容を公表することで、団体の活動の促進に寄与するとともに、市民の市民公益活動への参加意識の向上につながるようにするため、届出により状況を把握する制度を設けた。「公表」の手法は、広報紙によるものやインターネット、冊子やチラシなどがある。
(市民等の意見の反映)
市民公益活動の促進に関する施策の基本的、具体的事項については、市長の諮問に応じ、新たに設置する検討組織(吹田市市民公益活動審議会)での調査審議を経て、取り組んで行くことになるが、審議会の調査審議過程等において、その内容を市民等に周知するとともに、市民等から意見を求め、審議会以外の市民等からの意見についても施策に反映できるような機会を設けることに努めるものとする。
(審議会)
基本方針(市民公益活動の促進に関する基本的な指針、基本的な施策)及びその他市民公益活動の促進に関する重要な事項について、調査・審議あるいは市長に意見を述べるため、吹田市市民公益活動審議会を置くものとする。審議会の所掌事項のうち、市民公益活動の促進に関する重要な事項としては、
@事業補助などの資金助成制度を設けたときの運営(助成の審査・決定・取り消し)に関すること。
A基金制度を設けたときの運用に関すること。
B市民公益活動等の拠点施設が設置されるときの運営及び管理に関すること。
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などが考えられる。
また、審議会は、学識経験者、市民公益活動を行う者、市民、事業者その他市長が適当と認める者により構成することとしており、審議会の会議は公開することとする。
委員は10人以内、任期は2年とした。委員の内、市民及び市民公益活動を行う者は、公募によることとし、市民公益活動を行う者については、市民公益活動に知識・経験を有する者とすることとする。